FX市場 日報ニュース2024.6.10

USD/JPY

米国の一連の経済指標が軟調に推移したことから、市場では2023年に米連邦準備制度理事会(FRB)が2回の利下げに踏み切る可能性が再び意識されるようになり、ドル売り圧力が高まりました。一方で、日本政府は5月末の外貨準備高が1.2316兆米ドルに減少したと発表しましたが、4月の家計支出は前年同月比0.5%増と14ヶ月ぶりのプラスとなるなど、明るい材料も見られました。

鈴木俊一財務相は最近の為替介入について、「過度の変動を抑制するため、節度を持って実施した」と説明し、過度の円安に対しては対応する考えを改めて示しました。また、路透通信の調査によると、日本の1月-3月期GDP成長率は資本支出の上方修正により、前期比年率-1.9%と従来値を下回る見通しです。日銀関係者の間では、国債買い入れのペースダウン議論が活発化しているとの情報もあり、こうした動きが円高をサポートしました。その結果、米ドル/円相場は下落し、一時155.10円まで下げ渋りました。

一方、岸田文雄首相の経済戦略諮問会議は、政府と日銀に対し円安の影響に警戒を促しており、政府の円安への懸念が強まっていることが示されました。その後、米国の5月雇用統計が好調だったことから、FRBが2023年に利下げに踏み切る可能性は低下したと判断され、長期金利の上昇が進み、ドル高が進行しました。結果として、米ドル/円相場は一時157.07円まで上昇しました。
本日の予想レンジは、米ドル/円が156.20-40円がサポートライン、157.10-30円がレジスタンスラインとなると見込まれています。

EUR/USD

中国の1-5月の鉄鉱石輸入が7%増加したことは、最大の輸出国であるオーストラリアに朗報となりました。また、先週は主要中央銀行の利下げサイクル入りが主導的な動きとなり、カナダ、スイス、スウェーデンに続き、欧州中央銀行(ECB)やデンマーク中央銀行も利下げに踏み切る展開となりました。一方、オーストラリア準備銀行(RBA)については2023年12月の利下げ確率が50%とみられ、2025年末までに46ベーシスポイントの利下げ幅と予想されるなど、他の中央銀行と比べ利下げ観測は限定的です。

また、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)については、2023年11月末までの25ベーシスポイント利下げがすでに市場に織り込まれている状況です。こうした金利差の優位性から、先週金曜にはオーストラリアドルとニュージーランドドルが支持され、ユーロ/米ドル相場は1.0901ドルの高値まで上昇しました。
ただし、後にユーロ圏の1月-3月期GDPが前月比0.3%、前年比0.4%の伸びにとどまり、2023年第1四半期の賃金上昇率が5.1%にまで加速したことから、ECB理事からインフレ警戒感が示される展開となりました。ドイツ連銀も2023年のインフレ率予想を2.8%に上方修正する一方、GDP成長率予想は0.3%に下方修正しています。こうした中、米国の雇用統計が予想外に強かったことがドル高をけん引し、結果としてユーロ/ドル相場は1.0798ドルまで下落しました。

本日のユーロ/ドルのレジスタンスラインは1.0780-1.0800ドル、サポートラインは1.0700-20ドルと予想されています。

GBP/USD

先週金曜日、英国最大の住宅ローン協会ハリファックスが発表した5月の住宅価格は前月比-0.1%と小幅に下落したものの、前年同月比では+1.5%と予想を上回る伸びとなりました。ECBに比べ、英国の利下げ開始が遅れるとの見方が意識されたことから、ユーロ/ポンド相場は2022年8月以来の安値圏の0.8487まで下落し、ポンド/ドル相場は1.2811ドルの高値まで上昇しました。

しかし、その後の米国の雇用統計が予想を上回る好況ぶりだったことから、FRBが2023年に利下げに踏み切る可能性は低下したと判断され、ドル高が意識される展開となりました。その結果、ポンド/ドル相場は1.2713ドルまで下落しています。本日のポンド/ドルのレジスタンスラインは1.2730-50ドル、サポートラインは1.2630-50ドルと予想されています。